デアゴスティーニ(DeAGOSTINI)の隔週刊「刺しゅうで楽しむスヌーピー&フレンズ」第8号では前号からの続きのスヌーピーグッズ「ペンケース」が完成する。今回はペンケースの布の製図で頭を悩ませることになってしまった。なぜって、多分、いや絶対布が縮んでるから…
実際に作ってみて気づいたことなどをレポする。
『刺繍で楽しむスヌーピー&フレンズ』第8号はこんな感じ
第8号は5月17日(火)発売。
もう驚くこともないけど、今までで最薄だった第6号と同じ厚さ1.2cm。
開封
全員プレゼントの応募券(赤い三角)はカバーの上の部分。
表紙のカバー、キットはダンボールに挟まっていて、下に本があるという梱包。
入っているべきものはちゃんと入っていた。
今号のキットの内容。さすがにこの内容で1390円は高いと思ってしまう。
作業にとりかかる。
その1.タペストリーの刺繍
今号では「お花とウッドストック」を刺繍する。制作時間の目安は2時間。
前号も2時間だったけど、今号は鬼門のウッドストック様があるので嫌な予感しかしない。
まずはお花のバックステッチ。
お花とウッドストックのバックステッチ終了。ここまでは特に問題なし。
お花のサテンステッチをする。
お花のサテンステッチがおわって次はウッドストック様。
ウッドストック様…やっぱり苦手。目と口を何度もやり直した。いつも納得いかない仕上がりで残念。
あとは茎と葉をレゼーデージーステッチするのみ。
タペストリーの刺繍完成
茎と葉のレゼーデージーステッチが刺し終わりタペストリー無事終了。
今回は鬼門のウッドストック様があったので、難しいことはないが何度もやり直してうまく仕上がらないというモヤモヤする回だった。
前号で右半分、今号で左半分をやってこの部分が完成。
今号で刺繍したのはタペストリー全体のこの赤で囲った部分。
1番上の部分は終わったぞ。
その2.ペンケースを仕上げる
本の制作時間のめやすは2時間。まずはウッドストックの刺繍。バックステッチとストレートステッチだけとはいえ、ウッドストックの刺繍は苦手意識がある。
順調に進むが、ここで手が止まる。どうなってるのかよくわからいぞ。本を見ながらなんとなくでやるしかない。
こんな感じかなってとこでウッドストックの刺繍を終わりにする。
次に製図を見ながら布を裁断するのだけれど…
ここで、今号最大の問題が発生!
あれ?なんか変。なんか縦の長さが足りないぞ。どういう事?何度はかっても短い。製図では左の縦の点線から上下1cmの縫い代込みで10.5cmとなっているのだけど、そうすると下側の縫い線が…9.5cmの部分になるわけで、つまり…
本の通りに製図の線を引こうとすると、青い線が縫う線で、黄色の線が縫い代を付けた裁断する線。これだと白い矢印の部分の文字(©2022 peanuts……..)が底とはいえ表に出てしまう!本の出来上がりの写真にはこの文字が出ていないのでやっぱりおかしい。
どういう事???
多分、これ絶対に接着芯を貼って布が縮んでると思われる。約5mmは縮んでる。この文字さえなければ縮んでいても普通に製図して作れるのに…
この文字を避けるために縫線を上に上げて製図すれば良いのだけれど、その分刺繍した部分が下に下がることになる。マチ付きのペンケースなので、マチを付けて出来上がったときに、正面から図案がちゃんと見えないと非常に残念なことになる。
でも、文字が見えるのは嫌なので、縫線は文字をギリギリ避けられるよう上にずらして製図して裁断した。ファスナーを付ける上の部分の長さも少し製図で変更したが、それについては後で触れる。
裏から見ると、上に上げた分、接着芯の貼られていないところができてしまった。それでも文字が見えないようにするには仕方ない。
これが、ポケットの部分を裁断した裏側。前号で接着芯をピッタリ縦7cmで裁断して貼ったのだが、今号で7cmで裁断すると上下に芯が貼られてないところがある。つまり、縮んでるんだな芯も布も。
次にファスナーを付けていくのだけれど、ファスナーがなぜか長い。
製図していて出来上がり寸法みても、18cmの出来上がりなのにキットに付いてきたのはどういう訳か20cmのファスナー。本の中では切らずに作っているけれど、長いと出来上がりがもたついてきれいに仕上がらないのが嫌なので、留め具をずらして短くして使うことにした。
銀色の留め具を裏から外して付け直して短くした。ちなみに本の製図の幅は18cmのところをファスナーが付けやすいように5mm大きくして18.5cmに変更している。
本では全て手縫いで仕上げているが、筆者はミシンのほうがきれいに仕上がると判断。内布を最後に縫い付ける部分以外はミシンを使って作ることにする。
ファスナーを付けて、周りを縫ったら、次にマチを作る。筆者はどんどん進めていったけど、これって作ったことがない人は戸惑うのでは?マチに関する説明は本ではこれだけ。これ結構重要だと思うのだけれど…参考までに筆者のやった方法を簡単に書いておく。
脇側・底側の縫い代をしっかりと割って、脇側から縫い目の部分を底の縫い目と合わせてまち針でとめる。これが脇側。
底側の縫い目の部分にまち針でとまっているか要確認。これ重要です。
マチの長さの半分が縫い目の部分に来るように縫い目に対して直角に定規ではかる。写真は4cmのマチでその半分の2cmの部分が縫い目の部分になっている。
この部分がきちんとしていないと、脇と底の縫い目がずれたり、マチの長さが左右で違ってしまったりする重要な部分。どの部分かというと、写真の矢印の部分がまち針で合わせた部分になる。
次に内布を作っていく。まずはポケットを作るのだけれど、本ではこうなっている。
筆者は接着芯が丸見えでかがり縫いが物入れる度に見えるのが好きじゃないので、勝手にポケットをアレンジした。どのようにしたか簡単に書いておく。
同じサイズでポケットの内側になる布を自前で用意する。
中表に合わせて縫い代1cmで下側に返し口を作って周りを縫う。
縫い目を切らないように四隅を切り落とす。
返し口から表に返してアイロンで整えて、入れ口を5mm幅で縫う。内布のポケット付け位置に配置してミシンで三辺を縫い付ける。縫い付けるとこんな感じ。
ちょっと厚みは出るけど、これで、接着芯やかがり縫いが見えないようになった。
このあと内布の周りを縫ってマチを作ってという工程があって、内布ができたらいよいよ内布と表布を合体させていく。
ここでもアレンジしてしまう。今までポーチを何個も作ってきてこの工程をしたほうが筆者的には断然使いやすいと思うからだ。
本では手縫いだからか「マチの部分の角は底側に折り込みます」となっている。この部分に筆者は一手間加えて出来上がって中に物を入れて使うときに内布が中でモタモタしないようにする。
参考までにミシンを使って仕上げた筆者のアレンジを簡単に書いておく。
ミシンで作る場合、マチの先端をカットするだけでだいぶスッキリする。ただし、手縫いの場合は縫い目がほどけてしまうと思うので、絶対にカットしないでください。
さらにスッキリさせるために、内布のマチと外布のマチの縫い代を縫って固定させる。
外布と内布を写真のように重ねて、それぞれのマチの縫線を合わせてまち針で止め、数ミリ縫い代側を重ねて縫う。この時ポケットのある方が外布の後ろ側(刺繍のない方)になるように合わせる。間違えるとポケットが前についてしまう。
下側から見るとこう重ねている。
赤い糸が実際の縫線。矢印の部分が数ミリ縫い代側を重ねて縫ったところ。
ひっくり返すとこうなっている。
丸部分が縫ったところ。マチの縫い代は底側に倒れている。ここが縫ってあると、物を出し入れするときに内布が固定されているので中でもたつかずに使いやすくなる。
内布を返して外布の裏側に合わせて、ファスナーにまつり縫いで縫い付ければ終了!ちなみに筆者はファスナーを短くしているので、縫い代より長く残ったファスナーは切って、内布をファスナー部分に細かいコの字縫いでファスナーと同じ茶色の糸でなるべく糸が見えないように縫い付けた。
本ではこの後ファスナーの引き手の先に薄茶の刺繍糸でタッセルを作って付けるのだけれど、筆者的にはこのペンケースにタッセルが付いているのは好みじゃないので付けないでここで終了とする。
ペンケースの出来上がり。
ファスナー部分はこんな感じ。
ミシンで作ったので、仕立ては楽だった。
マチの部分。脇・底の縫い目がぴったり合って、スッキリ仕上げることができた。
ファスナーを開けるとこんな感じ。
ポケットの内側は内布を付けたので見た目もよく、凸凹もないので使いやすいと思う。
内外布のマチ部分の縫い代を縫い合わせて固定しているので、内布のたるみが少なく中がスッキリと仕上がった。
実際に作ってみて気になったこと
第8号で実際に作ってみて気になったことをまとめる。タペストリーは特に気になったことはなかった。
1.ペンケースの表布は縮んでいて製図どおりに作れない
今号で1番頭を悩ませたのが、布が縮んでいて製図どおりに作ると本来表に出ないはずの「©2022 peanuts……..」という文字が出てしまう状態だったということ。上にずらして文字が出ないようにすると、表の刺繍部分が下にずれて見えない部分があったら悲しいし…といろいろ考えてしまった。
結局文字が表に出ないように5mm上にずらして作ることになってしまった。「©2022 peanuts……..」という文字は諸事情で入れなきゃならないのだと思うけれど、布が縮むことも考慮して製図に影響が出るような位置には入れないでほしい。
本当は刺繍の部分があと5mm上に出来上がるはずだったんだよなぁ。
2.ペンケースの仕立ての説明は少ない
刺繍は制作工程がすごく細かく写真付きで説明されているけれど、ペンケースの仕立てに関しては説明が少ないと思う。これは以前作ったマルチケースの時も同じように感じた。
わりと大切なところの説明が少ないので、初心者の人は戸惑うことがあると思う。例えば上にも書いたように、布が縮んでいることに気づかずに製図通りに作ったら、見えないはずの文字が見えちゃう致命的なトラップがあるし、マチの作り方でまち針すらとめずにマチを縫うのはちょっと考えられない…出来上がってマチの脇と底の縫い目がずれてたら残念すぎるから。
筆者は本の仕立ての説明に関しては参考程度に思っているが、初心者の人はきっと最後に表に返してあれ?なんで??ってことが起きる可能性が十分考えられる。
今まで布小物は結構作ってきているので、今後も本のやり方よりも良いと思うやり方があればそちらで作っていこうと思う。
3.仕立てに使用する糸は生成り色?
本では真っ赤なペンケースのファスナー付けには赤の刺繍糸、内ポケットは薄茶色の刺繍糸。それ以外の部分を縫うのは生成り色の手縫い糸で仕立てている。これがどうも好きじゃない。赤い布を縫うときには赤い糸で縫いたいし、黄土色の布を縫うときにはそれに近い色の糸で縫いたい。
極めつけは黄土色の内布を茶色いファスナーにまつり縫い縫いで付けるのに生成り色の糸を使うのには驚いた。この部分、筆者はなるべく糸が見えないように細かいコの字縫いで、ファスナーと同じ濃い茶色い糸で縫い付けた。
デアゴスティーニさん的には布色に合った手縫い糸をキットに入れるということはないらしい。
4.ペンケースは18cmなのにキットは20cmのファスナー
18cmのペンケース作るのに20cmのファスナーがキットに入ってくるって…20cmでも作れるけれど、きれいに仕上げるなら18cmの方が良いと思う。そのまま使うのが嫌でファスナー短く直して使いましたけれど。デアゴスティーニさん、こういう時は素直に作品サイズに合った18cmのファスナーをキットに入れてほしいです。
あったら便利なもの
説明の中にさらっと出てくる用具類とあったら便利なもの。
キット以外に必要なもの
ハサミ
定規
アイロン
アイロン台
印付けペン
あると便利なもの
指ぬき・シンブル:手縫いで仕上げる場合は針を押しやすい
まち針:本では使っていないが、使わないと非常に仕立てづらい
今号のデータ
付属品 |
刺繍糸1種 |
---|---|
タペストリー刺繍 | お花とウッドストック |
スヌーピーグッズ | ペンケースを完成させる |
スヌーピーコラム |
スヌーピーがウッドストック |
『刺しゅうで楽しむスヌーピー&フレンズ』第8号のまとめと感想
実際に作り終えて第8号の良いところと残念なところをまとめてみた。
次号第9号は5月31日(火)発売!
詳しく知りたい方はデアゴスティーニの刺しゅうで楽しむスヌーピー&フレンズ公式HPを確認してください。
番外編:今後のラインナップがわからない
現時点でデアゴスティーニのHPを確認しても、今後のラインナップとして内容がわかるのは創刊号〜第8号(今号)まで。次号(第9号)に関しては今号で初めて上記の通りの内容であることがわかった。もしかしてこれから先の発売されるラインナップ(数ヶ月先の内容など)はわからないままなのか?デアゴスティーニってこんな感じなの?
2月の創刊号から始まった春のタペストリーはまだまだ終わらない、つまり今年の春には終わらないということだ。では夏のタペストリーはいつ始まるんだ??これから先どんなスヌーピーグッズを作るのかもわからないってことなのか?
まとめと感想
今号ではペンケースの仕立てで、表布が縮んで本の製図通りに作れないというアクシデントに頭を悩ませた。これに関しては、接着芯を布にしっかりと貼って布が縮むなら、そのくらいのことは想定内としてきちんと製図出来るように配慮しておいてほしかった。
筆者はミシンを使って縫製自体は納得のいく仕上がりだけれど、表布が縮んでしまったので正面の刺繍の部分が少し下に配置せざるをえなかったのは残念。
そしてキットに入っているファスナーにも疑問が残る。出来上がり18cmのペンケースになぜ、わざわざ20cmのファスナーがキットに入ってくるのだろう?
ということで、今号は全体的にあまり良い印象がなく残念な回だった。
次号では新しくスヌーピーグッズ「刺し子のふきん」が始まる。予告の写真では紺色の生地に白い糸で縫うようだ。「ふきん」なのだから、洗濯することが前提の布がキットに入ってくることを祈るばかり。