【ネタバレなし】映画『仕掛人・藤枝梅安1』は絶対に最後まで席を立ってはいけない

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世間では節分の日、2023年2月3日にある映画が公開された。同日に公開された『鬼滅の刃』のワールドツアー上映で賑わう劇場の中、向かった先は『仕掛人・藤枝梅安 一』だ。新たに豊川悦司さん主演で作られたこの映画は予想以上に面白い作品だった。

時代劇ファンの人にはぜひ見に行って欲しいのだが、絶対に忘れてはいけない注意すべき点がある。さらにどんなところが面白いのか、ネタバレなしにおすすめポイントを4つあげてみた。これから見に行こうと思っている人はぜひ参考にして欲しい。

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劇場が梅安を激推し!

筆者が見に行った新宿ピカデリーは梅安一色で染まっていた。え、鬼滅でなく梅安??時代劇ファンとしては嬉しいが、そんなに推しているのかと正直驚いた。

看板も梅安。

階段も梅安。

柱も梅安。

入り口に主要キャストの衣装が展示されている。

豊川悦司さんが演じる梅安の衣装。

片岡愛之助さんが演じる彦次郎の衣装。

二作目に登場する佐藤浩一さんが演じる井上の衣装

天海祐希さんが演じるおみのの衣装。

菅野美穂さんが演じるおもんの衣装。

こんなにプッシュしているのなら、鬼滅を見に来た人たちの興味をひく可能性があるのか?う~ん、確かに和風という共通点はあるが……。とにかく劇場は激推しだった。

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注意1:エンドロールが始まっても席を立つな

知らなければ後悔すること間違いない注意点がある。それはエンドロールが終わった後に、4月7日に公開される次回作の導入シーンがあるのだ。とにかく明るくなるまで、席を立たないようにしよう。

筆者は事前にその情報は知らなかったのだが、次回作の公開予定日が発表されていた作品だったので、「これは最後に何かあるに違いない」と予想して席を立たないでいた。さらにエンドロールを見ているとキャストに椎名桔平さんの名前があるのだが、どこに出ていたっけ?と疑問に思っていた。

エンドロールが終わった後、その謎は解けた。次作に繋がるシーンが始まり、彦次郎の因縁の相手として椎名桔平さんが登場したのだ。恐らく次回の冒頭にこのシーンは流れると思うが、ぜひ見逃さずに最後まで席を立たずに見て欲しい。

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注意2:空腹時に見るな

池波正太郎作品といえばやはり料理。『鬼平犯科帳』や『剣客商売』などでも、度々料理のシーンがクローズアップされる。今回の作品も当然のように様々な料理が登場した。

彦次郎が梅安に振舞う鰹節をかけただけのお粥に始まり、鯨骨の吸い物、鶏鍋など。どれも美味しそうに劇中で食べるシーンがある。空腹時にそんなシーンを見せられると、意図せず腹が鳴ってしまう。なので、映画を見る際には多少何か腹に入れてから見るのをおすすめする。

公式Yotubeには料理についての動画まで用意されていた。レシピ動画もあるので、再現してみたい人は挑戦してみるのも面白いかもしれない。

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見どころ

主に今回の映画は梅安の過去にスポットライトが当たっている話で、梅安が受けた依頼と彦次郎が受けた依頼がそれぞれ交錯していく。数奇な運命をたどった結果、悲劇的なのにどこか救われるような話となる。

大まかなあらすじやキャストは公式HPで確認してもらうとして、こちらではどういったところが良かったかなど、見に行って感じたことをまとめてみた。

見どころ1:キャストが良い

藤枝梅安は緒形拳さんに始まり、渡辺謙さんや小林桂樹さんなど数々の名だたる俳優が演じてきた。今回主役を演じる豊川悦司さんは果たして大丈夫なのか?そんな不安に駆られる人もいると思うが、まったく違和感なく見る事ができた。

自分が梅安に求めるものは高身長、恰幅のよさ、そして何と言っても色気だ。それらすべてをトヨエツ版梅安は難なくクリアしていた。冒頭の水中から現れて殺しをするシーンで、一気にひきつけられた。片岡愛之助さん演じる彦次郎も、人懐っこいのにどこか陰がある感じが良かった。

今回のメインゲストである天海祐希さんは悪役なのだが、やはり妖艶でこれまた色気がある。ネタバレになってしまうのでこれ以上は書けないが、その容姿を含めた納得のキャスティングだ。

また浪人・石川役を早乙女太一さんが演じたのも良かった。彼ならあの殺陣を難なくこなすこともできるだろう。菅野美穂さんの色気も半端ないし、六角精児さんや板尾創路さんのクズぶりもたまらない。そしておせきを演じる高畑淳子さんの演技は、緊張感張り詰める劇中で一服の清涼剤のようだ。

とにかく事務所の関係で出演しているのか?と思われるような、微妙なキャストがほとんどいないと言っていい。

見どころ2:色気満載

色っぽいシーンがわりと頻繁に出てくる映画なので、そういうのが苦手な人にはオススメできないが、男も女もとにかく色気全開だ。別にいやらしいシーンでもないのに、キャストの色気が溢れて止まらない。ただそこに立っているだけなのに、なぜか佇まいが色っぽいのだ。

浮世絵にも描かれたという設定の天海祐希さん演じるおみのは、その絵姿が想像できるような、まさに絵画から抜け出してきたような気だるくも妖しい存在だった。それに反して菅野美穂さん演じるおもんは、色気を普段は隠していても、梅安の前では色気がだだ漏れでとんでもなく艶っぽいのだ。

トヨエツ演じる梅安にいたっては、存在自体がとにかくいやらしい。元々色気のある俳優さんだが、彼をキャスティングしてくれて本当にありがとうと言いたい。

見どころ3:殺しの美学

『必殺仕事人』シリーズでは殺しをする際、レントゲン写真なんかが出てきてどういう状況か、分かりやすく表現していたりもするが、こちらの映画では一切そういったことはない。ただ静かに、そして密やかに殺す。

梅安が針を相手に刺す際に耳鳴りのようなキーンとした音が鳴り、相手の鼓動を表現するように打楽器がリズムを刻む。静かであるからこそ音が際立ち、今ここで人が死ぬというのを嫌でも意識させられる演出だ。殺し屋なのだから派手な立ち回りやセリフは無用だ、と言わんばかりのスタッフのこだわりを感じた。

それに対して浪人石川の戦いは派手で爽快だ。常に複数人に囲まれた状況の中、ばっさばっさと人を斬り捨てる。終盤にある殺陣シーンは映画の見どころの1つと言える。ただ、意外と残酷なシーンもあるので苦手な人は注意して欲しい。

見どころ4:粋な衣装

ぱっと見は地味に見える衣装だが、これが渋い。豪華絢爛マツケンサンバのような衣装ではなくても、素材や紋様、そういったものが考えられている衣装なのでかっこいい。いわゆる“粋”を感じさせる。

おみのの衣装は派手めで手が込んでいて綺麗だ。その衣装を天海さんが着るものだから、より目を惹き付ける。逆に地味に見えるおもんの衣装は渋くて粋だ。終盤で着る水色の着物もまた良かった。

主役の梅安の衣装はとにかく渋い。黒と柿渋のコントラストがよく映える。彦次郎の衣装の柄も単に染めたのではなく、絞のように端が淡くグラデーションがかっているのがいい。

キャラクターに合ったこだわりを感じさせる衣装が、登場人物がどんな人生を歩んできたのか、どんな性格の人なのかをうまく表現している。ぜひ大画面のスクリーンで堪能して欲しい。

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『仕掛人・藤枝梅安1』の感想と気になったこと

とにかくエログロ飯テロな映画だが、昔の時代劇はもっと無駄にエログロだった。ホラー映画かと思えるぐらいのグロさに、ポルノ映画かと思えるようなエロさ。なぜか登場する女性は犯されがちで、男女問わず拷問シーンがすぐに出てくる。そんなのが普通に年齢制限もなくやっていたのだから、今思うと凄い時代だ。

今回の『仕掛人・藤枝梅安1』はそういった時代劇特有の匂いを残しながら、スタイリッシュにブラッシュアップされた作品だった。映像や衣装の美麗さ、キャストの色気に思わず目を奪われるだろう。

ただ、気になったところもいくつかある。1つ目はシーン切り替えについてだ。ところどころシーンの切り替わりが雑というか、何だこれという部分がある。しかし、過去から今のおみのへ変わる際に、下からなめるように映しながら映像が切り替わる、という見事なシーン切り替えもあった。

2つ目は出てくる用語についてだ。時代劇が好きで何本も見ていたり、落語などで江戸時代の風習や慣習をある程度知っている人なら何も問題のないことだが、そうでない人には厳しいかもしれない。なぜなら、出てくる用語についての説明は一切ない。

例えばおみのは以前、水茶屋に勤めていたというが、水茶屋って何?と思っても劇中では説明はない。何となく察するしかないのだ。御新造が不義密通をはたらくとか、馴染みがない人はもう何を言っているのか分からないだろう。とはいえ、分からずとも話は理解できるので大丈夫だ。

ちなみに公開した日が『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』と同じ日だったため、見に行った時は劇場自体が非常に混雑していた。土日などにドリンクとかを購入する際は、早めに行動しないと始まってしまう可能性があるのでご注意を。

4月に公開される2作目を今から心待ちにしている。

映画『仕掛人・藤枝梅安』公式サイト

▼予告編

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