白い餅のなめらかな伸びも好きだが、
ときどき「もっと噛みたい」と思うことがある。
今回レビューするのは、農業法人久比岐の里が手がける「久比岐もち玄米」。
玄米を使った餅は、健康志向のイメージが先に立ちがちだ。
だが実際に食べてみると、これは“ヘルシー枠”ではなく、味と食感で選びたくなる餅だった。
今回の試食条件について
※味の違いを明確にするため、焼き餅(醤油(+うま味調味料)/砂糖醤油/磯部焼き)で検証しています。
あんこやきなこなどの甘味アレンジは行っていません。
商品情報

- 商品名:久比岐もち玄米
- 内容量:350g(6枚入り)
- 製造者:農業法人久比岐の里

- 栄養成分(100gあたり)
- エネルギー:230kcal
- たんぱく質:5.1g
- 脂質:1.6g
- 炭水化物:53.0g
- 食塩相当量:0g
焼く前の印象|素朴で、少しだけ“粗さ”が見える

袋から取り出した瞬間、まず目に入るのはほんのり茶色がかった色味。
真っ白で均一な切り餅とは違い、
ところどころに玄米の粒が見える。
この時点で「普通の餅とは違う」という個性がはっきりしている。
手に持つと、表面はなめらかだが、
よく見ると生地の中に細かな粒感があり、
“粗さ”をあえて残している印象を受ける。

香りは強くない。
焼く前は意外と穏やかで、
玄米特有の香ばしさはまだ立ち上がってこない。
だからこそ、この段階では少しだけ不安もある。
「粒が残っているけれど、食感はどう出るのか」
「白餅のような伸びはあるのか」
見た目は素朴。
派手さはない。
だがこの控えめな佇まいが、
焼いたときの変化をより際立たせる前振りになっている。
白餅が“完成された均一さ”だとすれば、
玄米もちは“素材感をそのまま残した設計”。
焼く前の段階で、すでに方向性は明確だ。
焼くと立ち上がる、玄米の香ばしさ

焼き始めてまず感じたのは、白餅とは明らかに違う香り。
ふわっと広がるのは、どこかナッツを思わせる香ばしさ。
「ご飯が焼ける匂い」を、より濃縮したような印象だ。
表面がふくらみ、ほんのり焼き色がつく頃には、
すでに食欲を強く刺激されている。
実食|プチプチ感と噛み応えが心地いい

ひと口かじると、まず感じるのは粒感。
玄米の粒がほんのり残っており、
プチプチとした食感がはっきりある。
白餅の「とろける」感覚とは対照的に、
こちらは噛むほどに甘みが出てくるタイプ。

- ご飯の甘みが濃い
- 噛めば噛むほど味が広がる
- 食べ応えがある
- 素材そのものの味が強い
「食べている感」がしっかりある餅だ。
醤油で食べる|鉄板の組み合わせ

醤油をさっと絡めると、
玄米の香ばしさに塩気と旨みが加わる。
これが驚くほど相性がいい。
砂糖醤油よりも、醤油のみの方が
玄米の香りをより楽しめる印象があった。
砂糖醤油|甘じょっぱさの“罪深さ”

一方で、砂糖醤油も負けていない。
甘じょっぱさが加わることで、
玄米の旨みがさらに引き立つ。
- 甘さが増してコクが出る
- 複雑さが増す
- 海苔ともよく合う
これはこれで美味しい。
“罪深い味”という表現がしっくりくる。
磯辺焼き(醤油+海苔)|完成度が一段上がる瞬間

正直に言うと、
この玄米もちの真価がはっきり出るのは磯辺焼きだと思う。
しょうゆを軽くまとわせ、
焼き海苔を巻いてひと口。
まず来るのは、海苔の香り。
その直後に、玄米の香ばしさが重なり、
口の中で“香りの層”ができる。
白餅の磯辺焼きは「しょうゆ+海苔」が主役になりがちだが、
この玄米もちは違う。
- 海苔の風味
- しょうゆの塩気
- 玄米のナッティーな香ばしさ
- 粒感のある噛み応え
それぞれが独立しながら、きちんと調和している。
特に印象的なのは食感の立体感。
海苔のパリッとした質感、
餅のもっちり感、
そして中に残る玄米のプチプチ感。
三層構造のような噛み心地があり、
「ただの焼き餅」から一段階上の満足感へ引き上げてくれる。
砂糖しょうゆ+海苔ももちろん合う。
甘じょっぱさが加わることでコクが増し、
いわば“罪深い磯辺焼き”になる。
だが、玄米そのものの魅力を最大限に楽しむなら、
シンプルなしょうゆ磯辺焼きがベストだと感じた。
この玄米もちは、
海苔を巻いてこそ完成する。
そう言っても大げさではないほど、
磯辺焼きとの相性は抜群だった。
このお餅のラベル評価
※本記事のラベル評価は、同シリーズ6種類を食べ比べたうえでの相対的な印象です。
■ ラベル評価
- 個性の強さ:強め
- 味の方向性:食感重視
- 贈答向きタイプ:食通向け
粒感がしっかり残るため、
白餅に慣れている人にはやや個性的に感じるかもしれない。
だが、この“噛み応え”こそが最大の魅力だ。
向いている人・向かない人
向いている人
- 噛み応えのある食感が好きな人
- 玄米や雑穀ごはんが好きな人
- 素材の味をじっくり楽しみたい人
- 自分用に本格的なお取り寄せ餅を探している人
向かない人
- とにかくやわらかく伸びる餅が好きな人
- 粒感のある食感が苦手な人
白餅との違いを整理すると
白餅が「なめらかさ」と「伸び」を楽しむ餅だとすれば、
玄米もちは「粒感」と「香ばしさ」を味わう餅。
やわらかさではなく、
噛むほどに広がる甘みと満足感で選ぶタイプだ。
なお、同じ久比岐の里の餅でも、
香りを主役にしたタイプなら「しそ餅」もある。
味の方向性で選ぶなら、
香り派はしそ餅、食感派は玄米もち。
方向性はまったく違うが、どちらも完成度は高い。
まとめ|“健康系”ではなく、“旨い系”の玄米餅
玄米もちというと、
健康志向の延長線にある商品を想像しがちだ。
だがこの「久比岐もち玄米」は違う。
主役は食感と香ばしさ。
噛むほどに広がる甘み、
残る粒感、
ナッティーな余韻。
白餅とは別ジャンルの美味しさがある。
軽さではなく、満足感で選ぶ餅。
玄米を選ぶ理由が、健康ではなく“味”になる。
自宅でじっくり味わう“お取り寄せ餅”として、
かなり完成度の高い一品だと思う。
