刀剣に浮世絵、それらに興味がある人はもちろん。興味がない人にもオススメしたいぐらい面白い「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」展。
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する人物なども描かれている浮世絵の数々や、土蜘蛛・鵺といった妖怪たちなどもどこかかわいらしい絵で登場だ。
そんな展覧会のオススメポイントを写真つきで紹介だ!
6つのオススメポイント
1.超絶技巧すぎる鐔
この展覧会の見所として激しく推したいのが刀の鐔だ。刀には興味あるけど、鐔なんて飾りでしょとナメてはいけない。展示されていた鐔はどれも圧巻の細工がされている。
全27種の中から特に気になったものをピックアップして紹介だ!
まずは弁慶と牛若丸の1シーンを切り取ったもの。
横のほうから見てみると、この薄さの中にしっかり彫られているのがよく分かる。もはや影すら芸術!?
小さな鐔にびっちり一場面が詰まっているものも!
2.美しすぎる刀
今回展示されていた刀は全部で25振。そのうちボストン美術館所蔵の刀は20振で、特別展示品が5振となっている。
半世紀振りに展示された刀や、超美麗な鞘付きで公開された刀などもあるぞ。
義経が持っていたと言われる刀・薄緑
刃文が美麗な刀たち。
3.かわいらしい妖怪たち
浮世絵に描かれたちょっとユーモラスでかわいらしい妖怪たち。細かなとこまで絵を鑑賞してみる楽しみの1つだ。
4.鎌倉殿のあの人たち
現在放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する人たちも沢山いた。義経はもちろんのこと、怪力な巴御前や謎の僧などの浮世絵を見て、どんな人物だったのか想像するのも楽しい。
左の絵は北条時政が江ノ島で子孫繁栄を願うと、弁財天が現れて子孫が栄華を誇るだろうと告げ、帰り際に大蛇に姿を変えて三つの鱗を残していったという話のシーン。以来、北条家の家紋は三つ鱗になったという。
右の絵は義時に追われていた佐藤忠信が不意打ちされた時、碁盤をかざして敵に立ち向かうという場面。左奥で馬に乗っているのが義時だ。
頼朝の追っ手から逃れるため大物浦から出航した義経たちを乗せた船が、壇ノ浦で滅ぼされた平家の怨霊に行く手を阻まれる。そこで弁慶が祈祷すると亡霊が退散したという場面。
木曽義仲と共に追っ手から逃れる巴御前が、松の大木で和田義盛と渡り合う場面。女性でありながら奮闘する巴御前がかっこいい!
「鎌倉殿の13人」では市川猿之助さんが演じていた文覚なる謎の僧。鬼気迫る表情だ。
5.分かりやすい4コママンガ
時代ごとに分けられている展示物の物語を、4コママンガで簡単に分かりやすく解説してくれる。ざっと目を通してから見ると、絵の内容が頭に入ってきやすいぞ。
土蜘蛛退治の話やヌエの話を説明しているものや…
ドラマでも描かれていた隠れていた頼朝を見逃した話や、弁慶が平家の亡霊を祓う話など。
絵を見る前に読んでおくと、絵の内容がどういう場面を描いているのか頭に入ってきやすい仕組みだ。
6.展示会のグッズ
美術展の楽しみの一つといえばグッズ。図録はもちろんのこと、変り種もあって面白い。中でも思わず購入してしまったのは、刀の鐔を模したコースターだ。
かわいらしい弁慶と牛若丸の人形はぜひセットで持ちたい。
変り種として刀の元となる玉鋼をビスコッティというお菓子にしたものや…
なんとこんなものも!18万するがカッコイイ頼光のスカジャン。スカジャンに浮世絵は確かにピッタリ合う。
展示データ
展示されているものを絵師別に分けてみた。国芳が圧倒的に多いが、国貞や月岡芳年など人気の絵師たちの絵もある。
刀剣関連 | |
---|---|
刀(ボストン美術館所蔵品) | 20 |
刀(特別展示品) | 5 |
鞘 | 2 |
鐔 | 27 |
浮世絵(121点・絵師28人) | |
ボストン美術館所蔵品 | 118 |
特別展示品 | 3 |
歌川国芳 | 48 |
歌川国貞 | 10 |
歌川国輝 | 1 |
歌川芳艶 | 2 |
歌川豊国 | 1 |
歌川芳虎 | 4 |
歌川広重 | 2 |
歌川重宣 | 1 |
歌川豊春 | 1 |
二代歌川国綱 | 1 |
二代歌川国貞 | 1 |
三代歌川豊国(歌川国貞) | 3 |
月岡芳年 | 5 |
勝川春亭 | 9 |
勝川春英 | 1 |
勝川春章 | 2 |
北尾重政 | 3 |
北尾政美 | 5 |
菱川師宣 | 3 |
奥村政信 | 2 |
葛飾北為 | 2 |
鳥居清満 | 1 |
鳥居清長 | 1 |
田村貞信 | 1 |
魚屋北渓 | 3 |
杉村治兵衛 | 1 |
鳥橋斎栄里 | 1 |
豊原国周 | 2 |
葵岡渓栖 | 1 |
卍楼北鵞 | 1 |
無款 | 1 |
展覧会概要
- ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語
- 開催日:2022年1月21日~3月25日
- 会場:森アーツセンターギャラリー
- 住所:東京都港区六本木6-10-1
- 公式Twitter
巡回情報
- 新潟県立万代島美術館 2022年4月23日(土)~6月19日(日)(予定)
- 静岡市美術館 2022年7月2日(土)~8月28日(日)
- 兵庫県立美術館 2022年9月10日(土)~11月20日(日)(予定)
まとめと感想
ボストン美術館所蔵の作品の中で、浮世絵と刀剣に絞って集めた今回の企画展。たくさんの作品数を所蔵する美術館の場合、こういったくくりで展示してもらったほうが分かりやすいと思った。
元々は日本にすべてあったものだと思うと、何だか切なくもなる反面、こうして見れる機会があるのはやっぱり嬉しい。
浮世絵は見ているだけで楽しいものも多く、一場面をダイナミックな構図で描いていたり、どことなくかわいらしい妖怪たちもいたりする。
刀剣の美麗さはもちろんのこと、鐔の装飾の細かさは半端ないものばかりだった。見ていると当時の人の刀に対する情熱とこだわりが伝わってくる。
現在放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」関連のものも多く、あの人がこんなところにいると発見したりする楽しみもあった。
刀剣や浮世絵に興味がある人はぜひ行ってみて欲しい。興味のない人も驚くこと間違いなしの展覧会だ。