しそ入りの餅というと、香りが強くて好みが分かれる印象がある。
本記事で紹介するのは、新潟の餅ブランド「久比岐の里」が手がける「しそ餅」だ。
正直に言えば、食べる前は「しそが前に出すぎないだろうか」と少し構えていた。
だが、実際に食べてみると、その心配はほとんどなかった。
このしそ餅は、しその風味がはっきりありながらも、全体のバランスがとても良い。
変わり種というより、丁寧に作られた“味のある餅”という印象が強い。
今回の試食条件について
※今回は、味の違いが最も分かりやすい「焼き餅(醤油・磯部焼き)」のみで試食しています。
あずきなどのアレンジは行っていません。
焼く前の印象|しそは見た目以上に存在感がある


パッケージからは、いわゆる「変わり種感」はそこまで強くない。
原材料を見ると、ちゃんとしそ漬けを使っていて素材重視の印象がある。

焼く前の段階でも、餅の中にしそがしっかり練り込まれているのが分かる。
この時点では、しその香りもそこまで強くはなく、「思っていたよりも普通の餅かもしれない」という印象だった。
焼いた瞬間に立ち上がる香り

焼き始めると、印象は一変する。
火が入ることで、しその風味がしっかりと立ち上がり、ただの白餅とは明らかに違う香りが広がる。

餅はとてもなめらかで、よく伸びる。安価な餅にありがちな重さや粉っぽさはなく、口当たりは終始やさしい。
この時点で、「変わり種だけど、餅としてちゃんとしている」という安心感があった。
実食|しその風味と、ほんのりした塩味

そのまま食べると、しその風味がしっかり感じられる。同時に、ほんのりとした塩味があり、味に輪郭がある。
例えるなら、ふりかけの「ゆかり」を思わせる方向性だが、あくまで上品で、餅の甘みを邪魔しない。
醤油は「少し」がちょうどいい
醤油をつけて食べてみると、意外にも甘さが引き立つ。ただし、たっぷりつける必要はない。
むしろ、お寿司を食べるときのようにほんの少量をちょんとつけるほうが、餅そのものとしその味がよく分かる。
醤油を控えめにすると、この餅が持っている完成度の高さがはっきり伝わってくる。
磯部焼き|リッチさが一段上がる

海苔を巻くと、印象はさらに変わる。しそ・海苔・醤油、それぞれの風味が重なり合い、一気に“リッチな味わい”になる。
不思議と胃にもたれず、歯切れも良い。しっかり食べているのに、後味が軽いのも印象的だった。
なお、海苔なしでも十分に美味しく、しそ餅単体としての完成度はかなり高い。
このお餅のラベル評価
※本記事のラベル評価は、同シリーズ6種類を食べ比べたうえでの相対的な印象です。
■ ラベル評価
- 個性の強さ:強め
- 味の方向性:香り重視
- 贈答向きタイプ:食通向け
しその存在感がしっかりある。しかし、「しそが好きな人向け」に留まらず、和の風味が好きな人なら幅広く楽しめるタイプだ。
向いている人・向かない人
向いている人
- しそや和の香りが好きな人
- 普通の餅に少し物足りなさを感じている人
- 食にこだわりがある相手への贈り物を探している人
向かない人
- とにかく無難な味を求める人
- 香りのある食材が苦手な人
まとめ|「変わり種」では終わらない、完成度の高いしそ餅
しそ入り餅というと、好みが分かれる商品を想像しがちだが、この餅は香りを武器にしながら、きちんとバランスを取っている。
焼き餅、特に磯部焼きで食べたときの完成度は高く、「話題性」よりも「味」で評価できる一品だった。
変わった餅を贈りたいけれど、美味しさは妥協したくない――そんな人にこそ向いているしそ餅だと思う。
価格は6種類セットでおよそ5,000円ほど。贈り物としてだけでなく、自分用のお取り寄せとして、じっくり味わいたい餅でもある。
